加須の浮野とその植物
埼玉県指定天然記念物 昭和29年10月23日指定
埼玉県指定天然記念物「加須の浮野とその植物」は、加須インター北部に位置し、南北110m、東西45mの周囲が堀で囲まれた湿地です。「浮野(うきや)」は、氷河期に形成された谷(現在は地下谷となっている)の縁に位置し、炭化した植物が何層にも重なってできた泥炭によりできている。
浮野全景
池塘(古井戸)
1947(昭和22)年に関東地方を襲ったカスリーン台風は大利根地域で利根川が決潰し、加須をはじめ利根川の広い流域が洪水に襲われました。浮野がある北篠崎一帯もこの時ほとんどが水没しましたが、浮野は水没しなかったといわれています。また浮野の中にある通称「古井戸」と呼ばれている池塘は洪水のときも、きれいな水を湧水していて、近隣から水を汲みに行ったといわれています。
浮野の周辺は、縄文時代には枝状にたくさんの谷が入り組んだ起伏に富んだ水辺の地域でした。
浮野の植物
トキソウ
初夏に開花する多年草の植物である。春に新芽を出して葉を広げ、高さは20cmくらいにまで伸び、その先端に一輪の花をさかせる。花色は淡い紅紫色で、その色が鳥のトキ(朱鷺)の羽色に似ていることからトキソウという名前がつきました。トキソウは、種子もつけますが、地下茎によっても増えます。
イトハコベ
初夏に開花する多年草の植物である。花茎は細く、植物の中で最も細い植物のひとつである。