24 荒神様<こうじんさま>

お話を聞く

 

 荒神様は〝 荒<あら>ぶる神〟(性格が荒々<あらあら>しい)ですが、たいへんすばらしい力を持った神様です。特にきたないものを嫌うので、家の中では一番きれいにしなければならないカマド(今でいうガスコンロ)の神様としてまつられるようになりました。

 

 むかしは田植えが終わると、どの家も〝植え上げ祝い〟をしました。この時、7株の稲苗<いねなえ>を2つに束<たば>ね、荒神様がまつってあるカマドの上につるしておいたものでした。

 この稲苗は翌年の田植えまでとっておき、魚の骨が喉<のど>につかえた時など、これで喉をこすると、不思議と骨が取れたということです。

 

 また、荒神様はなくした物を見つけることにご利益<りやく>がありました。

 家中探し回っても見つからない時など、荒神様がまつってあるカギツルシ(鍋<なべ>や釜を下げた金具)にワラを一本結び付け、

 「見つかったらほどきますから…」

 と言ってお願いすると、不思議と見つかりました。

 なくした物が見つかったときは約束通りワラをほどき、ていねいにお礼を言うのが決まりでした。なにしろ荒神様は性格が荒々しい神様ですから、粗末<そまつ>に扱<あつか>ってたたられでもしたら大変です。

 このような荒神様ですが、今ではカマドも使われなくなり、すっかり昔話となってしまいました。