16 雨乞<あまご>い竜体宮<りゅうたいぐう>
下種足<しもたなだれ>の県道沿いの小高い塚の上<現存せず>に、石でできた「竜体宮」があります。「竜体宮」は、江戸時代の寛政<かんせい>6年(1794)7月に造<つく>られました。わきには「竜体院殿 自山貞性大姉」という戒名<かいみょう>が書かれていますが、くわしいことは何もわかりません。昔は周りが池で、近くにあった長興寺<ちょうこうじ>というお寺が管理していたそうです。このお宮は、雨乞いにご利益<りやく>があるといわれています。
用水のまだ整っていない頃のことです。晴の日が続いて、雨が降らないとたちまち田んぼはカラカラとなり、あちらこちらがヒビだらけになりました。
そんな時、雨が降るようにと、竜体宮にお願いをしました。年よりも若い者も、はだかになって「ヨイショ、ヨイショ!」と池の水をかけ合いました。威勢<いせい>がよいほど効き目があるといわれました。時には、勢い余って道を歩く人に水をかけて大騒ぎになったという話もありました。
そんな願いが通じたのか、恵<めぐみ>の雨をもたらせてくれたといいます。もっとも、竜は雨雲を呼び寄せるともいわれます。
こうした村人の思いが、竜体宮をまつらせたのかもしれません。