2 兜出土!

 兜は、丸(曲輪<くるわ>)に一番近い25号堀の底で南向きに出土しました。
 兜の天地はそのままで、そっと置いたようでした。兜の下には何もありませんでした。
 丸の中に侵入しようとした武者が落としたものでしょうか?
 出土当時は、みずみずしく漆黒に輝き、特にシコロ(鉢の周囲)の美しさは息をのみました。

 

堀底の東寄りで出土

堀底の東寄りで出土

正面 上から

正面 上から

真上から

真上から

拡大

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ー発掘調査の様子ー

(1) 調査の様子

(1) 調査の様子


平成元(1989)年11月

22日(水)

  • 25号堀下層を移植ゴテで掘り下げた際、黒色漆の皮膜を一撃。
  • 黒色皮膜は小札<こざね>(甲冑の部品)の形でした。

25日(土)

  • 黒色皮膜は兜の一部であることが判明。

28日(火)

  • 兜の掘り出しには、移植ゴテやハケではシコロの皮膜を傷めるため、注水モードにした霧吹きなどを使い、水で覆土を流しました。(1・2)
  • 調査中は兜の保護のため丁寧に養生しました。

【養生】
〇十分に水を与えます(3)。
〇兜に小さく切った不織布を少しずつ貼っていきます。くぼみや弱い部分には脱脂綿を当てます(4)。
〇この作業を繰り返し、全体を覆います(5)。
兜が乾燥しないように水分を十分に与えながら行います。
さらに乾燥を避けるため二重にビニール袋をかけました。

30日(木)

兜が掘り上がる。写真を撮影しました(6)。

(2)シコロを出す

(2) シコロを出す


(3)養生 水を十分に与える

(3) 養生 水を十分に与える


(4)養生 小さく切った不織布でカバ-

(4) 養生 小さく切った不織布でカバ-


(5)養生 全体を覆う

(5) 養生 全体を覆う


(6)写真撮影

(6)写真撮影