山車を詳しく見る
台車
台車につく車輪は前輪部が2輪で径が120㎝、後輪が1輪で径が90㎝の3輪で牛に曳かせる轅(ながえ)が付き、大八車の形状をしている。
1段目
山車の1段目は、山車に乗った囃子手が乗る囃子座が前方にあり、その上に唐破風の屋根が付く。囃子座の上に黒漆地に金箔で「蘭陵王」と幕末篆書・隷書の達人と言われた戸川播磨守安清による。三方は横に連続した一続きの幕が張られる。囃子座後方の脇障子は全体を黒漆とし朱塗りで縁どりをおこなっている。花の透彫りの意匠を施している。
2段目
架木、平桁、地覆によりなる朱塗りの組高欄が牡丹欅花菱文彫の鍍金金物をつけている。
3段目
朱塗り擬宝珠高欄をめぐらす舞台の床面の耳板は2段目の高欄同様の朱塗りの牡丹欅花菱文彫である。
1段目三面幕
厚地で重い緞帳の刺繍でかなりの重量がある。幕の絵はその上辺と下辺には連続して白に縹の輪郭上辺と下辺に三段の州浜型(曲線の輪郭に出入りがある型)の霞を描く。三面の幕は横に一続きの画面で、松の大樹の幹を左画面の前方に配し、そこから松の枝を各面の上部に伸ばす。また、夏の紅葉した楓の枝を各面に描く。後方の見送り幕に舞楽の火焔太鼓と火焔台に鉦鼓を立てる。
2段目四面幕
四面幕は厚い織物の緞帳で裏面は白麻である。意匠は柔和な質感、穏やかな色調の緂の配色に有職文様を配す、優美かつ華麗で王朝風の舞楽人形にふさわしい。緂は三段に織り分けられ紅、白、萌黄で総角の緂の紫、白、紅に対応した配色で上下の談には三個ずつ丸文を金糸で刺繍する。それぞれの段には花蔓草十文字等の文様が金糸で施されている。四面の各段の色は横に連続し、中段の立湧の藤花の曲線も連続する。
3段目
山車の中心は舞楽「蘭陵王」の舞姿の人形であるから田の江戸型山車に例のない朱塗に擬宝珠柱を四方に配した「高舞台」の様式である。