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徳性寺の「紺紙金字法華経」が埼玉県指定有形文化財に指定されました

 紺紙金字法華経は、加須市大越の徳性寺に伝来する妙法蓮華経の転写本です。紺色に染めた料紙に金泥と呼ばれるすり潰した金箔で法華経を写経したもので、全8巻です。見返し絵には、金銀泥で、経文の意味を描いています。斜め向きの釈迦説法図を小さく配し、法華経の経意絵を一画面に多数描きこむ特色から、延暦寺蔵紺紙銀字法華経(重要文化財)か同系統のより古い転写本より写経したものとみられます。制作年代は平安時代の終わりから鎌倉時代の初めごろとみられます。

 同系統の写経は、延暦寺本と徳性寺本を含めると僅かに6作品しか現存が確認されていません。特に徳性寺本は制作当初の見返し絵が唯一8巻全てに残されており非常に貴重なものとなっています。

 このたび、埼玉県指定文化財指定・選定並びに認定の審議に関する基準の「典籍」のうち「各時代の遺品のうち製作優秀で文化史上貴重なもの」に該当することから、3月14日(金曜日)に県指定有形文化財に指定されました。

 なお、当文化財は、「紺地金泥妙法蓮華経巻」の名称で、市指定有形文化財に指定されていましたが、県指定文化財に指定されたため指定解除されました。

 なお、埼玉県立歴史と民俗の博物館常設展示室第4室(美術展示室)において、令和7年3月11日(火)~5月11日(日)まで、展示されています。