トップページ自然・環境 > 玉敷神社の社叢林

玉敷神社の社叢林<たましきじんじゃのしゃそうりん>

画像:玉敷神社
玉敷神社

 玉敷神社は、騎西地域のほぼ中央騎西小学校の北西に位置します。平安時代の延喜式〈えんぎしき〉にその名を載せる歴史の古い神社ですが、神社は場所を転々としました。江戸時代初め頃の絵図には現在の位置に描かれています。

画像:玉敷神社の社叢林
玉敷神社の社叢林

 神社の社叢は、アカマツ林、イチョウ林、ケヤキ林、イヌシデ-シラカシ林、スギ植林、マダケ林、シロダモ林、スダジイ林などで構成されています。

 玉敷神社の社叢は騎西地域で最も重要です。この社叢のシラカシ、スダジイ、ムクノキ、イヌシデなどの林は、面積・木のサイズが大きく、埼玉県平野部の自然植生のなごりを示す、とても価値が高いものと言えます。

画像:玉敷神社植生図
玉敷神社植生図

 特に社叢北西部に広がるスダジイの優占林は、埼玉県の東部低地ではとても珍しく、関東平野においてスダジイ林の分布を考える上で重要な資料です。

 社叢奥のイヌシデ-シラカシ林は、県内東部低地としてはその規模と構成樹種には、大宮の氷川神社社叢以外に例を見ないものです。 将来シラカシの照葉樹林に移行してゆくと思われます。

社叢林と植物群落の移り変わり

① 初期及び低木層にシラカシが成長している段階
② スギ、シラカシの混交林
③ シラカシ林-極相林

① 初期及び低木層にシラカシが成長している段階

Ⅰ 初期段階

一年生草本・多年生草本の群落。シラカシの苗木

Ⅱ 低木層にシラカシが成長している段階

高木層にスギ、ヒノキ、亜高木層に常緑広葉樹が発達します。薄暗い林。
低木層に次世代のシラカシが侵入し多数を占めています。いずれシラカシ林に移りかわります。

画像:低層シラカシ林
低層シラカシ林

② スギ、シラカシの混交林

シラカシの高木がスギより上にあります。低木層以下にもシラカシ他常緑樹が多数あります。スギは勢いが無く、シラカシ林といえます。10~20年後にシラカシ林に移り変わる。

画像:スギ、シラカシ林
スギ、シラカシ林
画像:シラカシ林植生図
シラカシ林植生図

③ シラカシ林-極相林

最終的に到達する自然の状態。高木層・亜高木層・低木層・草木層の4層
大部分が常緑広葉樹。
高木層・亜高木層-シラカシが林間の大半を覆います。
亜高木層~低木層-ネズミモチ・シラカシ・ヤブツバキ・サカキ。イヌシデ以外はほぼ常緑樹です。

画像:シラカシ林
シラカシ林
画像:シラカシ林植生図
シラカシ林植生図